相続でマンションを取得した場合の対処【令和6年以降の補正も解説】

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マンション

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

相続が発生した際、相続財産の中に不動産が含まれることもあります。不動産は戸建ての場合もあれば、分譲マンションの場合もあります。

マンションの場合、戸建てと違って相続税評価の方法が異なるので注意が必要です

【マンションだけでは相続税は生じない】

前提として、相続財産の中にマンションが含まれるからといって、相続税を必ず支払うことにはなりません。

なぜなら、相続税は遺産の総額が「基礎控除額を超える」場合のみ、課税されるからです。基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」で算出されます。

つまり、相続人が一人でも遺産総額が3,600万円を超えなければ、相続税の申告も納付も必要ありません

相続税の申告については、この遺産総額を算出するために、各財産について個別に評価をしなければいけません。マンションについても評価の方法は決まっています。

【マンションの相続税額評価方法】

相続財産は、自動車や骨董品等の動産であれば、相続開始時点の「時価」で評価しますが、不動産の場合は「固定資産税評価額」や「路線価方式」など、税法で定められた方法で評価するのが一般的です。

マンションも不動産ですので、戸建てと同様に建物部分と土地部分に分けて評価をします。

(1)建物部分の評価

建物は、固定資産税評価額をそのまま用いるのが原則です。固定資産税評価額は、市区町村から送付される課税明細書などで確認できます。

もし、課税明細書が見つからない場合、該当不動産所在の市区町村役場で、固定資産評価証明書や名寄帳を発行してもらいましょう。

(2)土地部分の評価

まずは、路線価方式か倍率方式で土地の評価をします。計算式は「路線価×マンションの敷地全体の面積(㎡)」です。

  • 路線価方式:都市部などで路線価が設定されている場所では、路線価(国税庁が毎年公表)をもとに算出します。数字は国税庁のHPで確認します。
  • 倍率方式:路線価が設定されていない地域では、固定資産税評価額に国が定める倍率を掛けて算出します。これも国税庁のHPで確認します。
★国税庁HP:路線価

上記の方法で算出した数字を持分割合(敷地権割合)で按分します。

計算式は「マンションの敷地全体の評価額×持分割合(敷地権割合)」です。

持分割合は、マンションの売買契約書や登記簿に記載されています。専有面積や共有部分の権利に応じた持分で評価されるため、戸建てよりも土地の評価額が低くなる傾向にあります。

【令和6年からの区分所有補正とは】

令和6年(2024年)1月1日以降に相続または贈与で取得した分譲マンションなどについては、「区分所有補正」を適用するという新ルールが導入されています。

これまで、特に都市部のタワーマンションでは「実際の市場価格」と「相続税評価額(固定資産税評価額や路線価評価額)」の間に大きな差が生じることが問題視されていました。


例えば、高層階のタワーマンションは同じ敷地内であっても低層階の部屋より市場価格が高くなる傾向にあります。それにもかかわらず、従来の相続税評価方法では床面積などで一律に評価額が決まるため、高層階の部屋は相対的に評価額が低くなります。

そのため、以前では「タワマン節税」が行われていました。

「区分所有補正」はこの不公平を是正するためのものであり、「補正をかけて評価額を引き上げる」という制度です。

【区分所有補正率の考え方】

区分所有補正を用いたマンションの相続税評価額は以下のように計算します。

マンションの相続税評価額=建物部分の評価額×区分所有補正率+土地部分の評価額×区分所有補正率

つまり、土地と建物ともに区分所有補正が入ります。

補正率は、マンションの築年数、総階数、所在階、建物の専有部分の面積、敷地の面積、持分割合(敷地権割合)要素で決まりますが、上層階ほど市場価格が高くなるため、高層階ほど補正率が高く設定されます。

具体的な数値は、国税庁が定めた基準に従って計算することになります。国税庁HPで計算用のエクセルシートが配布されているので、ご参考ください。

【相続税申告の期限を守ること】

相続税の申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10か月以内」です。マンションなど不動産を含む場合は、相続税が生じやすいので、各財産の評価方法を確認し、相続人間での分割協議を進めながら準備する必要があります。

マンションの相続税申告では、建物・土地部分の評価や小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減などを活用することで、相続税負担を大きく抑えられる場合があります。ただし、それぞれの特例には要件があり、適用可否を正しく判断することが重要です。

不動産の評価は専門的で誤りやすいため、税理士などの専門家に相談し、早めに準備することをおすすめします。

【不動産相続の相談は古川会計事務所まで】

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